2014年7月2日
株式会社神鋼環境ソリューション


放射能汚染土壌のセシウム除去、減容化技術を開発


 株式会社神鋼環境ソリューション(本社:神戸市中央区、社長:重河和夫)は、独立行政法人国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターと共同で、放射能汚染土壌にセシウム除去剤を添加し、加熱化学処理を行うことで放射性セシウムを除去し、汚染土壌を最大98%減容化する技術を開発しました。
 また、放射能汚染焼却灰(主灰)に対しても、前処理を施すことにより、汚染土壌と同様に除染・減容化できる目途を得ております。今後、建設が計画されている中間貯蔵施設に搬入予定の除去土壌や放射能汚染主灰の除染・減容化に貢献していくことを目指します。

○放射能汚染土壌の現状
  福島県内の放射性セシウムを含有している放射能汚染土壌は2,000万m3(東京ドーム約16個分)を超えるとも言われており、現在、除染作業により生じた除去土壌は仮置きもしくは現場保管されていますが、近い将来、中間貯蔵施設に全量搬入される計画となっています。しかしながら、その実現には輸送インフラや県外最終処分場の確保など解決すべき課題が山積しており、放射能汚染土壌の減容化は喫緊の課題となっております。

○本技術の概要
 今回開発した技術は放射能汚染土壌(※1)として、『@土壌とセシウムとの吸着結合能(※2)が阻害される可能性の高い高濃度の有機物(※3)を含む除去土壌』、『A長期管理にコストを要し最終処分に向けて将来減容化が必要になる可能性がある高濃度汚染土壌(※4)』、『B除染廃棄物等の焼却により多量の排出が予想される高濃度汚染主灰(※5)』等を対象としています。
 実験にあたっては、汚染土壌には実際に汚染された除去土壌を使用し、同土壌を粗粒分、細粒分、有機物に分級した後、放射能濃度の高い細粒分にセシウム除去剤を添加します。その後、草木類等の有機物と共に加熱化学処理することにより放射性セシウムを効率良く揮発除去させ(放射性セシウム除去率98%以上)、除去土壌を最大98%減容化することに成功しました。
 また、放射能汚染主灰に対しても、前処理工程で粗粒分のみを分別処理することにより、上記汚染土壌と同様に除染・減容化できる目途を得ております。

○今後の取り組み
 実用化に向けた課題は、設備のスケールアップおよび浄化土壌の再利用先の確保でありますが、今後これらの課題を克服した後、実用化を目指します。
 当社は東日本大震災に伴う福島第一原発事故による放射能除染技術の開発・活用に向けた取り組みを進めてまいりました。こうした技術やノウハウを活かし、東日本大震災からの一日も早い復旧・復興へ向けて、今後も最大限の貢献を果たしてまいりたいと考えております。

○用語説明

※1 2011年の東日本大震災の際に発生した福島第一原子力発電所での事故に伴う大量の放射性物質(セシウム、ヨウ素

等)に汚染された土壌。

※2 土壌中に吸着されたセシウムと土壌成分との吸着能力。通常、土壌中のセシウムは極めて強固に吸着されている

と言われている。

※3 芝生、草木類、枯葉等。

※4 放射能濃度が8,000Bq/kgを超える土壌。本汚染物は中間貯蔵施設に一時保管されたのち、最終的には福島県外に

建設予定の最終処分場に移動処分される予定である。

※5 放射能濃度が8,000Bq/kg、場合によっては100,000Bq/kgを超える焼却主灰。一部溶出する可能性があることに

よりセメント固形化を要するような大量の主灰が発生した場合に適用可能な減容化技術として開発している。


1.本技術の特徴

@ 洗浄・分級工程で汚染土壌から放射能濃度の高い細粒分を洗浄・分級することにより、エネルギーを要する加熱処理

工程に投入する量を減らすことが可能である。

A 比較的低温域で加熱化学処理されるため、高温での溶融処理に比べて土壌性状が大きく変化せず、予め分級した粗粒

分との混合により覆土や盛土等への再利用が可能である。

B 汚染土壌中の放射性セシウムが少量のばいじん中に濃縮されることにより、処理後土壌の放射能濃度が目標値を満た

せば、元の汚染土壌量と比較して大幅な減容化が可能となり、中間貯蔵施設への搬入・保管量や県外最終処分量を減

らすことが可能である。


2.フロー図の一例
     

(除去土壌処理フロー)


以上

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PDFファイル[181KB]


○お問い合わせ先

株式会社神鋼環境ソリューション 総務部 TEL(078)232-8018

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