2014年9月8日
株式会社神鋼環境ソリューション


従属栄養培養方式によるユーグレナ(微細藻類)の本格培養を開始
〜閉鎖型の1m3培養槽を設置し、バイオ燃料、食品/化粧品等の商品化検討を開始〜


 株式会社神鋼環境ソリューション(本社:神戸市中央区、社長:重河和夫)は、このたび技術研究所内に閉鎖型の1m3 培養槽を設置し、従属栄養培養(*1)方式によるユーグレナ(*2)の培養を本格的に開始致しました。これにより、ユーグレナ由来のバイオマス等のサンプルをキログラム単位で提供する体制が整ったため、バイオ燃料、食品/化粧品、下水処理に加え、化成品等の商品化検討を開始致します。

 ユーグレナの培養方法は一般的に光合成培養と従属栄養培養がありますが、閉鎖型の培養槽における従属栄養培養は、光合成培養と比較すると、単位面積当たりのバイオマス獲得量が数百倍程度となると共に、気候等外部環境(日光、気温等)に影響されない安定した培養を継続することが可能です。

 このたび、国立大学法人筑波大学と共同で見出したユーグレナの新規株の培養をフラスコ規模から段階的にスケールアップし、培養槽(1m3)においても、バイオ燃料として有望と考えられてきたユーグレナ・グラシリスZ 株(国立環境研究所保存株:NIES-48)と比較してバイオマス生産性が2倍以上であることを改めて確認できました。

 ユーグレナから得られるパラミロン(*3)が嫌気状態(*4)にて、バイオ燃料のもとになりうるワックスエステル(*5)を生成することも確認されており、バイオマス乾燥重量当たり70〜80%のパラミロンを蓄積する培地成分や培養条件も確立しております。バイオマスの成分分析結果では、ビタミン・ミネラル・必須アミノ酸・必須脂肪酸の含有が確認されており、アミノ酸スコア(*6)は100 となっています。なお、培養成績につきましては、日本農芸化学会2014年度大会において発表致しました。

 今後は、培養方法について更なる改良を進めると共に1m3 培養槽の培養実績を積み重ねてまいります。また、培養槽の大型化に必要な最適設計条件を把握し、2015 年度には10m3 培養槽での大量培養を計画しており、この10m3 培養槽が完成すれば、パラミロンの製造設備としては、世界最大レベルになる見込みです。

○用語説明

※1 従属栄養培養 :生育に必要な炭素を有機化合物の形で生物に与える培養方法

※2 ユーグレナ :光合成を行う植物的性質と“すじりもじり”運動をする動物的性質を兼ね備えたユニークな生物

※3 パラミロン :グルコース(ブドウ糖)がβ-1,3結合した多糖で、体の免疫機能をつかさどる細胞を活性化する働き

がある

※4 嫌気状態 :酸素(溶存酸素、結合性の酸素)の存在しない状態

※5 ワックスエステル :脂肪酸と脂肪族アルコールのエステルで、燃料の原料となる油脂状の物質

※6 アミノ酸スコア :アミノ酸をバランスよく含んでいるかどうかの指標で、最高値が100


以上

発表資料はこちら
PDFファイル[132KB]


○お問い合わせ先

株式会社神鋼環境ソリューション 総務部 TEL(078)232-8018

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