2005年7月5日

当社と株式会社神戸製鋼所は、製鉄所や工場、あるいはごみ焼却場などで、従来有効利用されることなく
放散されていた中・低温域(200℃以下)の廃熱を利用して、独自開発の高効率な蓄熱装置に熱エネルギー
を蓄えて、トラックで遠隔地へ輸送する技術を開発しました。世界で初めて90℃以上の高温水としての利用を
実現したことで、
暖房や温水としての利用に留まらず、市販の吸収式冷凍機と組み合わせることにより、
冷房用エネルギーとしても利用が可能となりました。

パイプラインなどのインフラ整備が不要で、CO2排出削減・地球温暖化対策にも結びつく有効な
熱エネルギー利用手段として、集合住宅などの
民間施設や地域・公共機関などの冷暖房・温水として、幅
広く利用されることを期待しています。

 既に欧州では、酢酸ナトリウム(融解潜熱:63kcal/kg、融点温度58℃)を蓄熱材として使用した熱
エネルギー輸送技術が実用化されています。

このたび両社は、
  @単位質量当たりの蓄熱量が大きく(融解潜熱:76kcal/kg)、高い融点温度(119℃)を持つエリスリ
  トールを蓄熱材として使用。

 A蓄熱装置に独自開発の特殊構造(特許出願中)を採用。蓄熱材に、熱エネルギーを伝える熱媒体
  (熱媒油)との熱交換に、直接接触式の採用を可能としたことで、
蓄熱装置内の伝熱効率・充填効
   率が高くなり、従来比で30%小型化。

などにより、熱エネルギーの輸送効率を向上させました。

 両社では、すでに実験用の小型蓄熱装置(約1トン)を製作し、神戸製鋼所の神戸総合技術研究所(神戸市
西区)から、神鋼環境ソリューションの技術研究所(同)までの約5kmの間で、蓄熱したコンテナを公道輸送
し90℃の高温水を取り出す試験に成功しています。

将来的な実用化に当たっては、公道輸送を考慮して、装置単体としては10トン程度の蓄熱装置が主流
になると想定しています。この場合、1台の蓄熱装置で、およそ120万kcal(灯油換算で150リットル程度)
の熱エネルギーが蓄熱可能であり、これは一般家庭30戸分の1日の暖房に必要な熱量に相当します。
また、冷房の場合は、1台分に蓄えられた熱エネルギーの内、85万kcal(
90℃以上の熱エネルギー部
)が冷熱転換により冷熱として利用できます。

尚、本開発の成果につきましては、7月7日から開催される日本機械学会 環境工学総合シンポジ
ウム(室蘭市)にて発表する予定です。


                                                                    



<熱エネルギー輸送技術の概念図>


<蓄熱装置の運転方法>



製品写真


○お問い合わせ先

株式会社神鋼環境ソリューション
 総務部 TEL078−232−8018



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