2011年04月21日
株式会社神鋼環境ソリューション


兵庫西流域下水汚泥広域処理場向け下水汚泥焼却・溶融施設を竣工


 株式会社神鋼環境ソリューション(本社:神戸市中央区、社長:青木克規)は、2007年3月に兵庫県中播磨県民局から受注した「兵庫西流域下水汚泥広域処理場向け1・2系溶融炉改築工事」を本年3月25日に竣工しました。当施設は循環流動層炉と二次燃焼室及び旋回灰溶融炉を採用した下水汚泥焼却・溶融施設であり、高濃度のクロムを含む汚泥を循環流動層炉で抑制燃焼することで六価クロムの生成を抑え、更に発生した焼却灰を旋回灰溶融炉で溶融処理し、安全な溶融スラグを生成するものです。
 受注した2系列のうち1系列(4号炉)は既に昨年4月から本格稼働させており、残る1系列(5号炉)も今年4月より稼働を開始しました。
 尚、当社は兵庫県まちづくり技術センターより上記施設の運転維持管理業務の包括委託を受注し、安定運転を継続しています。



1.「兵庫西流域下水汚泥広域処理場向け1・2系溶融炉改築工事」について
 (1)発 注 者 :兵庫県中播磨県民局
 (2)建設場所:兵庫県姫路市網干区網干浜
 (3)処理能力:290トン/日(145トン/日×2系列)
 (4)受注金額:16,280百万円(税抜き)
 (5)特  長:
   1)安定操業が容易な灰溶融システム
    溶融炉には、コンパクトな竪型旋回流式灰溶融炉を採用。1400℃以上の高温で焼却灰を溶融処理した後に
    急冷し、クロムを封じ込めた安全なスラグを生成する。
    また、独自のシステムとして、焼却灰の塩基度分析装置をオンライン中に設置することにより、灰の塩基度を
    常時監視し溶融炉に投入する焼却灰の安定化を図る。さらに炉内温度も常時監視することにより、溶融スラグの
    安全性と操業の安定性を向上すると共に、溶融炉の補助燃料を削減。

   2)温室効果ガス削減に配慮した高効率二段燃焼システム
    焼却方式は、燃焼用空気を絞った抑制燃焼(700℃〜800℃)においても安定した運転が可能な循環流動層炉
    と、得られた熱分解ガスを850℃〜900℃程度の高温で完全燃焼させる二次燃焼室の組み合わせによる効率的な
    二段燃焼システムを採用。焼却灰中の六価クロムの生成を抑えると共に、補助燃料を増加することなく高温化を
    図り、従来型の気泡流動層炉に比べて、地球温暖化ガスの一つである亜酸化窒素の発生を80%以上削減すること
    が可能。

 (参考資料)
   1.下水汚泥焼却・溶融炉とは?
    下水を処理する過程で発生する下水汚泥を流動層炉で焼却し、生成した焼却灰を旋回溶融炉で1400℃以上の
    高温下で溶融、スラグ化するシステム。溶融した灰は急冷し、溶融スラグとして道路用細骨材等に再利用される。

   2.当社の下水汚泥焼却・溶融炉の特長
    1)高効率二段燃焼炉
     循環流動層炉(下記参照)と二次燃焼室を組み合わせ、温室効果ガス、特に温室効果の高い亜酸化窒素を削減
     できる次世代焼却炉として実用化した焼却炉。
    【特長】
     ・熱分解炉には低温・低空気比での安定運転が可能な循環流動層炉を採用し、熱分解ガスを安定的に生成
     ・二次燃焼室では850〜900℃程度の局所高温領域を作り、熱分解ガスを完全燃焼
     ・熱分解ガスを高温焼却することにより温室効果ガスである亜酸化窒素の大幅な低減が可能
     ・汚泥から生成する熱分解ガスを利用するため、燃料を増加することなく高温化が可能
    2)循環流動層炉
     循環流動層ボイラの技術を下水汚泥焼却分野に応用した焼却炉。高温の流動砂を循環し、激しい混合撹拌により
     効率的に汚泥を焼却可能。
    【特長】
     ・高温の流動砂を循環させるため、低空気比においても炉内温度の維持が容易
     ・様々な性状の汚泥に対応できる(成分、含水率)
     ・し渣や沈砂を高い混焼率で処理可能
     ・保有砂が少なく必要圧力を低減できるため、燃焼空気ブロワの消費電力を従来型の気泡流動層炉に比べて
      最大40%低減
    3)旋回灰溶融炉
     溶融用空気と焼却灰を旋回させながら炉内に吹き込み、バーナーで1400℃以上に高温化した炉内で灰を溶融
     処理する溶融炉。
     汚泥を焼却処理した後、焼却灰を溶融するため、汚泥性状の変動の影響を受けにくい。焼却炉に炭酸カルシ
     ウム等の助剤を投入して灰の性状(塩基度)を調整したのち、溶融炉へ投入することで安定した処理が可能。
    【特長】
     ・汚泥を直接溶融するシステムより炉がコンパクト
     ・炉がコンパクトであるため耐火物補修等の維持管理が容易で維持管理費を低減できる
     ・前処理で汚泥乾燥は不要であり臭気対策が容易
     ・焼却炉と溶融炉が別々であり、焼却運転だけの対応も可能
     ・塩基度、炉内温度を常時監視し、安定操業が可能

以 上


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PDFファイル[185KB]

○お問い合わせ先

株式会社神鋼環境ソリューション 総務部 TEL(078)232-8018

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