2012年1月5日
株式会社神鋼環境ソリューション

青木社長 年頭メッセージ


 本日開催されました、当社年頭式典における社員宛の社長メッセージをお届けします。


<青木社長 年頭の辞>

 社員の皆さん、年末年始はゆっくり休養されたでしょうか。年の初めにあたり、ひとことご挨拶申し上げます。


 昨年の3月には、我が国に未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生しました。被災地の一日も早い復旧・復興を祈念するとともに、当社グループとしても、引き続き復旧・復興に最大限の努力を傾注していくことを改めて確認したいと思います。

 今般の大震災では、巨大地震と大津波そのものの被害もさることながら、地震と連動して発生した福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染の問題が、被災地のみならず世界各国にも、今なお大きな不安を与えています。この大震災と原発事故を契機として、日本のエネルギー政策が中長期的に見直され、温暖化対策とあわせて、当社が技術的接点を持つ再生可能エネルギーが、今まで以上に着目されていくことは間違いありません。


 さて、我が国の財政赤字は増大の一途を辿り、超円高は長期化・定着の様相を呈し、日本経済の行方は極めて不透明な状況です。世界に目を転じれば、米国経済の停滞、欧州の債務危機、急速な成長を続けてきた中国経済の調整局面入り、流動化する中東情勢、北朝鮮の最高指導者の死去による東アジア情勢の緊迫、等々、何が起きてもおかしくない不安定な状況が、本年も続くものと予想します。


 この様な情勢の下、昨年末には日本の全ての産業に大きく影響を与える二つの出来事がありました。

 一つは、11月に我が国政府がTPP交渉への参加検討を表明したことです。当社のビジネスとのかかわりで言えば、「政府調達」の分野で交渉の行方を注視していく必要があります。即ち、官需の分野にTPP参加国企業が参入してくる可能性があるのかどうかという観点です。既存のWTO政府調達協定とどこがどう変わるのか。現状の海外企業の参入障壁となっている、日本国内での実績重視、日本独自の規格等が、内国民待遇・貿易上の技術的障害と言った点からどう扱われるのか。あるいは、「サービス」の分野で、PFI案件や事業系案件と関連して、金融・保険サービスの変化をどう捉えるか。「投資」の分野で議論されている外資規制の撤廃は、交渉参加国であるベトナムで行う当社のビジネスにどの様な影響を与えるのか、等々であります。

 TPPが関税撤廃のみならず非関税障壁の撤廃を目指していることを踏まえ、国内・海外双方における当社ビジネスに与える影響を見極めていく必要があります。


 また、二つ目には、大阪で府知事選、市長選のダブル選挙が行われ、いずれも都構想を掲げた候補者が当選しました。その政治手法や都構想の是非は別として、この大阪ダブル選の結果は、中央・地方に係わらず、既成政党への有権者の失望・反発が形になったものと見ることができるでしょう。既に府と市の水道事業の統合も検討が始まっていますし、二重行政の解消に伴う行政機構の効率化、ひいては民営化の流れが加速していくことも視野に入れなければなりません。また、これらの一連の流れは大阪だけにとどまらず他都市にも波及し、日本の地方自治のあり方を大きく変えていく可能性を孕んでいます。この動きも当社のビジネスに少なからず影響を与えます。


 翻って当社グループの状況については、今年度は昨年度に達成した神鋼環境ソリューション設立以来の最高経常利益を更新できる見通しであります。とはいえ、今後も2015年度中期ビジョンの達成に向けて、決して手を抜くことなく、不断の努力を重ねることが重要であることは言うまでもありません。

 また、エネルギー政策の見直しやTPP交渉の行方が超円高の継続と相俟って、我が国の産業構造を加速度的に転換させていくことが予想され、当社グループの事業構造、あるいは収益構造にも大きく影響を与えるかも知れません。

 間もなく来年度予算の編成が本格化しますが、特にこの1年、2012年度は現中期ビジョンの第1期間である10−12年度総予算の最終年度にあたります。2013年度以降の更なる飛躍に向けて、見直すべきは見直し、変化を先取りし、スピード感を持って諸施策を推進していくことが重要です。そのための議論を尽くしていきたいと考えています。


 ここで、社員の皆さんに特に意識して欲しいことは、“攻め”の姿勢であります。我々を取り巻く内外の情勢はこれまで述べてきた通りですが、現在のような不確実性の時代には、守ってきたものが一瞬にして消え去る恐れなしとしません。常に“攻め”の姿勢に自らの身を投じることこそ、この時代を生き抜く力です。我々は、かつて隆盛を極めた幾多の有名企業が次第に衰えていく姿を時々目にします。これらの企業の衰退は、勝ち得た名声の大きさ故に、それを維持し守ることに精力を注ぐあまり、結果として、“攻め”の施策に遅れを取ったことが原因である場合が多いようです。当社は、未だ守るほどの名声を博しているわけではありませんが、今こそ“攻め”の意識を、社員の皆さんと共有して、この不確実性の時代を生き抜きたいと思います。

 当社の経営における“攻め”とは、どの分野であれ、的確な状況判断と見識に裏打ちされた、将来におけるありたい姿を描き出し、それを実現するための具体的アイディアを創出し、そこに人・物・金を積極的に投入することであります。

 メニューの育成であれ、マーケットの拡張であれ、技術開発であれ、新たな事業展開であれ、はたまた、必要な人材の獲得であれ、当社の更なる発展のために必要なところには、積極的に経営資源を投入していきます。一定の収益基盤が確保できている今だからこそ、果敢な挑戦ができるのです。


 次に「コンプライアンス」について申し上げます。健全な企業経営を行う上で、企業倫理・コンプライアンスが重要であることはこれまでも機会ある度に申し上げてきました。図らずも昨年後半には、オリンパスの経営陣による巨額損失隠し、大王製紙の創業家経営者による巨額借入問題が発覚し社会を騒がせました。これを対岸の火事とすることなく、他山の石として当社のコンプライアンスやコーポレートガバナンスを今一度見つめなおし、こうした問題が起こらない企業風土づくりに、グループ社員の皆さんひとりひとりがこれまで以上に励んで頂きたいと思います。


 最後に「安全」について申し上げます。昨年来、グループを挙げて安全管理を徹底し、「チーム安全」等、新たな活動にも取り組んでいますが、非常に残念なことに災害の発生を減らすことができていません。年の初めに、改めて、全てのグループ社員が、安全の原点に立ち返り、事故・災害の撲滅に向けて、決意を新たにして頂くよう、強くお願いする次第であります。


 結びにあたり、本2012年が皆さんとご家族の方々にとって、実り多き年になりますよう、ご健勝とご多幸を祈念致しまして、私の年頭の挨拶と致します。


以 上



○お問い合わせ先

株式会社神鋼環境ソリューション 総務部 TEL(078)232-8018

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