2013年8月6日
株式会社神鋼環境ソリューション


一般廃棄物焼却設備の飛灰除染一貫処理システムを開発
〜放射性セシウムを除去して8,000Bq/kg 以上の廃棄物を大幅に減量〜


 株式会社神鋼環境ソリューション(本社:神戸市中央区、社長:重河和夫)は、独立行政法人国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターから研究委託をうけた福岡大学と共同で一般廃棄物焼却飛灰から放射性セシウムを除去し、管理型処分場に埋め立て処分可能な8,000Bq/kg以下に除染する一貫システムを開発しました。

 一般廃棄物焼却施設に収集された廃棄物に放射性セシウムが存在する場合、最終的に放射性セシウムは飛灰に濃縮されるため、飛灰の放射能濃度は最大数万Bq/kgに達するものもあります。8,000Bq/kgを超え、指定廃棄物として保管されている一般廃棄物の焼却灰は既に8万トン近くに上っており、保管場所がひっ迫してきていることから、その減容化が喫緊の課題となっています。

 本技術開発は、@飛灰などの洗浄除染により放射性セシウム含有濃度と溶出性の大幅な低減を図ること、A洗浄排水中の放射性セシウムを分離濃縮し除去する技術を確立すること、を目的としております。そのため、本実験では、放射性セシウムを含む日量50〜100kgの飛灰(放射能濃度8,000〜30,000Bq/kg)を使用しました。

 一般廃棄物焼却施設で焼却された廃棄物の放射性セシウムはその大部分が飛灰中に濃縮されますが、一般に水に対する溶解性が高く、平均75%程度が短時間に水に溶出してきます。本技術は、この溶解し易い特性を生かして焼却飛灰を水で洗浄、脱水することで飛灰の放射性セシウム濃度を低減し、埋め立て処分可能な灰にする技術です。また、洗浄水に含まれる放射性セシウムは膜処理設備で分離・濃縮し、さらに吸着処理設備で吸着剤に濃縮することで、吸着処理後の排水中の放射能濃度を検出下限以下の値とすることができます。
 また、吸着剤の放射性セシウム吸着能力を制御することで、8,000Bq/kg超の廃棄物の量(飛灰)を処理前の1/5〜1/500(吸着剤)まで減量することが可能です。

本技術の特徴

@飛灰中に含まれる放射性セシウムを90%以上除去することにより、管理型処分場に埋め立て可能な8,000Bq/kg以下の灰に
 できます。

A洗浄後飛灰の放射性セシウム溶出量を洗浄前飛灰の2%以下と大幅に低減できます。

B高性能な吸着剤(造粒)により洗浄水中の放射性セシウムを除去・濃縮し、処理水中の放射性セシウムを検出下限以下まで
 除去できます。

C飛灰中の放射性セシウムを吸着剤に濃縮する本技術の適用により、保管・貯蔵対象物の大幅なコンパクト化、最終処分場の
 負荷低減化ができます。

D指定廃棄物からの放射性セシウムの溶出リスクを減らせることから、長期的な放射能管理が容易になります。


以上

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PDFファイル[336KB]


○お問い合わせ先

株式会社神鋼環境ソリューション 総務部 TEL(078)232-8018

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