2020年12月17日
株式会社神鋼環境ソリューション


神奈川県との共同研究が終了
〜「環境配慮型創エネ焼却システムに関する共同研究」について〜


  株式会社神鋼環境ソリューション(本社:神戸市中央区、社長:大M敬織)は、神奈川県流域下水道事業の共同研究における「環境配慮型創エネ焼却システムに関する共同研究」について、神奈川県との共同研究が終了しましたのでお知らせいたします。
 本研究結果は、神奈川県のホームページでも報告されております。

  神奈川県では、流域下水道が抱える様々な課題を実際の施設を利用して検討するとともに、下水道関連の技術開発を促進するため、民間企業等との共同研究制度が設けられております。当社は、平成29年12月20日に神奈川県と「環境配慮型創エネ焼却システムに関する共同研究」に関する協定を締結し、令和2年8月31日まで共同研究を進めてまいりました。
 研究結果の概要は以下の通りとなります。


1.研究テーマ名 : 環境配慮型創エネ焼却システムに関する共同研究


2.研 究 場 所  : 神奈川県酒匂川流域下水道右岸処理場


3.研究目的・特徴

<研究目的>

 下水汚泥のもつ未利用エネルギーの有効活用に向け、焼却炉の廃熱を利用した環境配慮型創エネ焼却システムの技術を実機へ適用することにより、期待される「省エネルギー」・「創エネルギー」の性能及び「温室効果ガスの排出量の低減効果」を検証するとともに、その研究結果が神奈川県流域下水道事業の地球温暖化対策の推進に寄与することを評価する。

<特徴>

@流動空気タービンシステム

 流動空気ブロワの代替として流動空気タービンを設置し、排ガス廃熱により高温化された圧縮空気をタービンの動力源とすることにより流動空気の自吸運転を行う。

Aバイナリー発電システム

 白煙防止空気ラインに温水ボイラを設置し、余剰廃熱から熱回収し、発生した加圧水を熱源としてバイナリー発電機にて発電を行う。



4.研 究 目 標

@省エネルギー及び創エネルギー効果により、焼却に必要となる電力費を約6割削減する。

A電力由来の温室効果ガスを約6割削減することで、焼却設備全体(N2O含む)の温室効果ガスを約1割削減する。


5.実証試験の概要

 本実証試験は、実機に流動空気タービンシステム(省エネ)、バイナリー発電システム(創エネ)を設置し、実稼働から得られた結果より研究目標の達成について評価するもので、実証試験では次の条件を設定した。

・条件1 流動空気タービンシステムの導入による消費電力削減量が、投入汚泥1tあたり27kWh/t以上

・条件2 バイナリー発電システムの発電端効率が9%以上

※発電端効率=(発電電力[kW]/発電システムへの供給熱量[kW])×100

 これらのシステムを設置した後、平成30年7月より試運転を開始したが、この試運転の途中で実証試験用設備の一部に不具合が生じたため、原因究明と対応策の検討、および処置を行い、不測の日時を要し、研究期間の延長もあったが、1年を通じて年4回の実証試験(春季(H31.3月)、夏季(R1.7月)、秋季(R1.10月)、冬季(R1.12月))を行い、必要なデータ等の取得ができた。

 なお、実証試験後にこれらシステムの撤去および原状回復を行い、令和2年8月末に共同研究を終了した。


6.実証試験の結果

実証試験の結果、条件1及び条件2を満たしている結果が得られた。

(条件1の結果)

(条件2の結果)

※供給熱量については、既存施設の廃熱熱量に実証試験用に設置した補助熱風バーナにより供給熱量を調整し、発電性能を確認している。


7.研究目標に対する評価

 当社が、「実証試験の結果」をもとに、想定能力(処理能力100t/日)に換算した場合での消費電力削減効果を試算し、研究目標に対する評価を行った。

(結果)

@流動空気タービンシステム(省エネ)およびバイナリー発電システム(創エネ)の導入により、焼却設備全体で6割
 の消費電力(=電力費)削減効果がある試算結果が得られた。

A 消費電力の削減により、焼却設備全体(N2O含む)における温室効果ガスの1割弱の削減効果が
 ある試算結果が得られた。

※流動空気タービンシステム:約 26%、バイナリー発電システム:約 34%


以上

発表資料はこちら
PDFファイル[269KB]


○お問い合わせ先

株式会社神鋼環境ソリューション 総務部 TEL(078)232-8018

このウィンドウを閉じる