2025年4月18日
株式会社神鋼環境ソリューション


廃棄物焼却施設に係る点検補修工事等において
ダイオキシン類ばく露防止措置の不備が判明した件
(追加調査結果及び再発防止策を公表)


 株式会社神鋼環境ソリューション(本社:神戸市中央区、社長:佐藤幹雄)は、神奈川県足柄下郡箱根町から受託した箱根町環境センターにおける点検補修工事等において、当社従業員および協力会社の作業員にダイオキシンばく露防止措置として労働安全衛生法が定めるものとは異なった保護具を着用させて、作業を行わせていたこと等(以下、「本事案」という)につき、2025年1月29日に対外公表いたしました。ばく露対象者の方々および関係するすべての皆様に健康面における不安やご心配をお掛けしておりますことを改めて深くお詫びいたします。

 前回公表以降の対応について、ばく露対象者の方々への対応、他の廃棄物焼却施設の調査、原因分析と再発防止策などをとりまとめましたので、ご報告いたします。

 当社は、ばく露対象者の方々の健康不安に引き続き真摯に向き合うとともに、再発防止策を着実に実施し、皆様の信頼回復に全力で取り組んでまいります。


1. 本事案の経過

・当社では、本事案を把握した後、速やかに箱根町環境課および所管の労働基準監督署に対して報告・相談を行い、その後、労働基準監督署から、本年1月29日付で「指導票」を受領しております。

・当社は、ばく露対象者の方々の健康不安の低減に向けて血中ダイオキシン濃度の測定など血液検査による健康状態の評価実施体制を早急に整えたうえで、その内容をばく露対象者の方々に案内連絡してまいりました。

・並行して、当社の他の廃棄物焼却施設での工事において、類似の事案が生じていないかどうかの調査も速やかに実施いたしました。

・また、社外の専門家を交えて本事案の原因を調査する調査委員会を本年2月3日に立ち上げてその活動に全面的に協力してまいりました。


2. ばく露対象者の方々への対応状況

・ばく露対象者の方々の健康不安の低減を図るべく、過去に実績がある専門分析会社と契約し、血中ダイオキシン濃度の測定など血液検査による健康状態の評価を実施することとし、東京・神戸の2拠点で随時採血する体制を整備してまいりました。4月11日現在、既に本事案の対象者全体の約65%にあたる約190人の方々より血液検査の申込みを受けており、順次検査を開始しております。

・ 血中ダイオキシン濃度の測定は、分析会社の処理能力上の制約から全数実施までには日数を要するとされています。現時点で判明している第1回検査分45人の分析結果によれば、ばく露日数が100日以上の長期の対象者の方々も含めて、全員が、環境省による一般の方を対象とした血中ダイオキシン類濃度の全国調査の測定値範囲内(*1)に収まっていることが確認されました。引き続き健康不安の低減に向けて真摯に対応を継続してまいります。


3. 他の廃棄物焼却施設の調査

・当社が工事等を受託した他の廃棄物焼却施設において、本事案の類似事案の有無につき調査を進めた結果、他の9施設で類似事案が判明いたしました。当該他の9施設の総合計で、当社およびグループ会社の従業員約180人、協力会社の作業者約1,420人が新たにばく露対象者となることが判明いたしました。

・類似事案の判明後、当社は、速やかに当該9施設のお客様と所管の労働基準監督署への報告を実施しておりますが、現時点ではいずれの労働基準監督署からも法令違反による処分は受けておりません。

・現在、新たに判明したばく露対象者の方々にも本事案と同様に希望者に対する血液検査を順次開始しております。


4. 原因の分析

本事案の発生原因の調査については、社内での調査に加え、社外の専門家も交えた調査委員会を立ち上げ、こうした事案が発生した背景を含む原因究明を実施しました。その結果、以下のような問題点が明らかになりました。

(1)ダイオキシンばく露防止に関する仕組み整備・教育が不十分

適正な保護具を着用するための作業標準の整備、ダイオキシンばく露防止に関する教育が不十分だった。

(2)事業所が抱える課題に対する本社・事業部門の支援体制が不十分

現場の状況を把握して対策・支援を協議する定例会議、現場の安全を担保する安全審査会が十分に機能していなかった。

(3)組織風土の課題

現場の課題を進んで把握するという双方向コミュニケーションの欠如、言われたことだけやっておけば良いという意識、発信力の低さ、多層にわたる組織構造のため責任の所在が不明瞭になるなど組織風土の問題があった。


5. 再発防止策

当社は、再発防止策を実行するとともに組織風土の改革を推進する専任の部署を新設設置し、前述の原因の指摘・認識を踏まえた以下の再発防止策に取り組みを開始しました。

(1)ダイオキシンばく露防止に関する仕組み整備・教育の徹底

・作業環境(ダイオキシン濃度)の都度確認を行い、ダイオキシン濃度が高い場合の対応標準を明確化する。

・作業責任者や安全管理責任者への教育内容を見直し、繰り返し教育を行う。

(2)事業所に対する本社・事業部門の支援強化

・各事業所と本社・事業部門を結びつける機能を強化する(要員増、役割・責任の明確化など)。

・定例会議で審議する案件を整理し、職場の環境改善のために実効性が高い運営に改める。

・安全審査会の実効性を高めるため、事前審査の徹底、審査資料の工夫、モニタリング等を行う。

(3)組織風土の改革

社員一人一人が誇りを持って働ける職場づくりのため、役員、ライン部長などの経営幹部が調査委員会の指摘や提言を真摯に受け止めて議論し、風土改革に向けて以下に取り組む。

・現場との双方向コミュニケーションを確立するため、ライン長の意識改革・マネジメント力強化を行う。加えて、経営幹部や本社・事業部門が現場訪問の意識を高め、自らの目で確認し、迅速・適切に課題の把握に努める。

・社員の積極性を高めるため、小集団活動の推進、交流会の活性化などの活動に取り組む。

・組織階層を簡素化、責任者・決裁権限者を明確化することで、報連相の改善、適切な意思決定を行えるようにする。


6.社内処分

当社は、本事案及び他の廃棄物焼却施設の調査結果を受け、代表取締役及び所管役員の報酬の一部減額を実施いたします。


以上


(*1)平成23年〜平成28年度の調査結果として環境省が公表している値

日常生活(食事、喫煙等)の中でばく露し、体内に蓄積されているダイオキシン量

〔血中ダイオキシン濃度−(pg-TEQ/g fat)〕

平均値:11、範囲(最小値/最大値):0.39〜56


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○お問い合わせ先

株式会社神鋼環境ソリューション 総務部 TEL(078)232-8018

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