SOLUTION STORY# 01

「踏み込む。挑む。やり抜く。」


すべてが問われた


前例のない技術開発。

PROLOGUE

人々の健康で安全な暮らしと、かけがえのない自然環境を守るためには、水処理技術が不可欠です。
当社では地球の水環境を守るべく、上下水・産業用などの幅広い水処理システムの開発に長年取り組んできました。
「持続可能性」「SDGs」という言葉がよく聞かれるようになった昨今、下水処理の過程で生じる汚泥を資源として
有効活用しようという機運がますます高まっています。
本プロジェクトでは、長年培ってきた技術を発展させ、革新的な汚泥処理プロセスを開発しました。

汚泥処理の効率化+多面的な
バイオガス利活用。
独自技術で環境負荷低減を。

全国の下水処理施設では、毎日膨大な量の汚泥が発生しています。一般的な汚泥処理プロセスの流れは、「濃縮」・「消化」・「脱水」です。これまでは汚泥処理の効率化に取り組んできましたが、近年は「消化」で発生する“バイオガス”を発電に利用するなど、汚泥が持つエネルギーを利活用する技術にも注目が集まっています。本プロジェクトでは、汚泥処理の効率化と新たなバイオガス利活用の両方に取り組みました。


まず、汚泥処理の効率化を目指し、「濃縮」における汚泥の高濃度化に取り組みました。高濃度化の課題として、処理性能の悪化が懸念されましたが、従来同等の処理性能を維持したまま高濃度化できる製品の開発に成功。高濃度化により設備をコンパクト化できる、すなわち省エネ・低コストによる汚泥処理を実現し、環境負荷低減に貢献することができました。


さらに新たなバイオガス利活用として、バイオガスを水素に変換し燃料電池自動車などに利用するシステムを構築しました。当社独自のバイオガス精製技術を導入することで、燃料電池自動車の品質規格を満たす水素製造を実現しました。これにより発電燃料としてだけでなく、都市ガスとして、水素燃料として、お客様のニーズに合わせて多面的に利活用でき、循環型社会に貢献できる技術を開発しました。

実証までの
タイムリミットは、実質8ヵ月。
異例の納期の中でも、
こだわり抜いたユーザー目線。

下水道事業における低炭素・循環型社会の構築を推進するべく、国土交通省が主体となって進めているのがB-DASHプロジェクトと呼ばれる実証事業です。我々は、自社で開発した新しい技術を「高濃度消化・省エネ型バイオガス精製による効率的エネルギー利活用技術」と銘打ち、実証事業に応募しました。


無事に当社提案が採択されましたが、いち早く実証設備でデータを取り、世の中に立証するためには、実質8ヵ月で設備すべてを完成させなければいけない、という難題に直面しました。同規模の工事となると1年から1年半が通常の工期。つまり、およそ半分の時間でやり遂げる必要がありました。


プロジェクトの主体は約10名のメンバー。プロジェクトマネージャーを筆頭に、機械設計、電気設備や調達、工事、土木建築、研究開発といった各部署の人間が週に1度必ず集まり社内で密な連携を取り合いました。


特にこだわり抜いたのは、ユーザー目線。性能は当然のこと、導線、配置、どんなに些細なことでも納入先の自治体のみなさまと擦り合わせ、お互いに納得できる設備を建設できました。厳しい納期だからこそ、緻密に連携して協議を重ねたことで、ともに作り上げていく連帯感が生まれたと当社は感じています。また、本設備の導入が臭気抑制にも繋がり、処理場内の環境改善にも寄与できたと考えています。

メンバー全員を奮い立たせた
企業理念。
数多くの仲間と
「ともに挑む」からこそ
実現できる。

工事中のトラブルによる作業中断や、設備で不安定な運転が続いたときには、「もうダメなんじゃないか」と挫けそうになった瞬間もありました。しかし、当社のモットーは「踏み込む。挑む。やり抜く」であり、逆境でこそ諦めないで最後までやり抜く姿勢は、全員に共通する理念。各自が出来ることから前に進め、全員が責任感を持って逃げずに挑むことで、異例の短い工期の制約がある中でも、クオリティに納得できる状態で引き渡せたのだと思います。


我々の技術力の背景には、当社だからこその、部署の垣根を越えた連携力や、チーム一丸となって挑む団結力があると思います。実験室にも、工事の現場にも仲間がいます。今回のプロジェクトでは、水素関係の部署にもアドバイスをもらいました。今後入社される方々にも、当社の強みを存分に活かして、数多くの仲間と「ともに挑む」達成感を味わってほしいですね。


現在は、下水汚泥を炭化して固形燃料化し、火力発電所で有効利用するというプラントの設計に携わっています。これも当社が開発した新技術です。まだまだ未知の技術への挑戦は続いています。これからも美しい地球環境のために貢献していきます。

EPILOGUE

  • 独自技術で、次世代の汚泥処理
    プロセスを実現。
  • 短納期だからこそ踏み込んだ、
    ユーザー目線へのこだわり。
  • 企業理念が繋ぐ、垣根を越えた
    連携力、チームの団結力。

汚泥・バイオ関連施設の設計

M.T さん

入社以来、地方自治体向けの下水・汚泥処理プラントの設計・提案に従事。
汚泥の焼却炉やバイオ天然ガス化設備など、下水・汚泥処理プロセスに関わる広範な施設に携わってきた。