ともに挑む先輩たち# 01

K.Y

# 水処理

# 機器設計

# プロセス設計

# 機械

水処理施設/設計・試運転

下水処理は「10年でようやく一人前」
その秘められた可能性に、
好奇心は尽きない。

生活排水を綺麗にして川や海へ戻す「下水処理施設」は、生活基盤と地球環境を守る大切なインフラです。規模の大きさはもちろん、使用する機械の数や必要な予算など、すべてが段違いのスケールです。機械の基礎を作る土木から始まり、心臓部となる機器設計や配管・架台などの施工設計、機械を動かすための電気設備との調整、それらすべての工程やコストの管理など、問われる知識は多岐にわたります。「10年でようやく一人前」と上司から教わりましたが、実際入社から4年が経った今も勉強を重ねる日々で、全く飽きることがありません。

まずは設計者として、水処理の世界での経験値を増やすことが直近の目標です。下水処理ひとつに関わることでも、まだまだ知らないことは数多くあります。処理の過程で発生する汚泥は、のちに濃縮・脱水・焼却し、灰にしてから廃棄をするのですが、そのプロセスにはまだ関わったことがありません。持続可能性の追求、地球温暖化防止の観点から、現在はその汚泥をバイオマス化、固形燃料化してエネルギーとして再利用するという動きも加速しています。再生可能エネルギーを生み出す基盤として、下水処理にはまだまだ多くの可能性が秘められていると感じています。

社会人初めての挑戦は、
100を超える機器を、相手目線で
説明すること。

最初の挑戦は、入社2年目に、先輩が手掛けてきた下水処理施設のプロジェクトを、試運転(*1)の段階から引き継いだことです。水処理設備一式を納めるにあたっては、設備全体の概要はもちろん、日々の運転や必要なメンテナンスについての説明を関係者に向けて1人で行わなくてはなりません。ひとつの機械について説明するだけでも大変ですが、私が引き継いだプロジェクトでは、100を超える様々な機器が設置されていました。

お客様からは、機械設備のことはもちろん、電気設備のことや、メンテナンスの詳細に至るまで、あらゆることを質問されました。例えば、メンテナンスについては専門の業者に依頼するのですが、その方たちの目線に立って、何が必要な情報かを理解していなければ、適切な回答は用意できません。あの時、その場できちんと答えることができなかったことは、忘れることのできない苦い経験です。現在は、自身で設計を担当した下水処理施設の工事現場に今年の2月から常駐し、施工管理(*2)に携わっています。先輩のもとで勉強しながらの毎日ですが、段々と説明できることが増えてきた実感があります。今ではメンテナンスをする方々の視点から設備を見ることも、少しずつ出来るようになってきました。

*1:プラントの建設完了後、本稼動を始める前に試験的に運転・稼動させること。各設備、機器類が仕様通り・設計通りに正しく動作するか、求められた能力を発揮できるかどうかを確認する。

*2:建設現場において、工程の進捗や品質のチェック、投入する資材や建材、作業人数などの調整、役所の手続き、現場の安全面に至るまで、工事を滞りなくスムーズに進めるための様々な管理を中心的に行う。

プラントづくりは、人間力。
自分の意志を、積極的に発信する。

「プラントは人間力だ」と言われます。自分の部署以外に、工事室、営業、調達、検査室、社外のお客様や施工業者、機器や配管の製造メーカ、電気・土木工事業者、メンテナンス業者の方々など、本当に多くの人と協力することで下水処理施設は建設、運営することができます。色んな人々との連携なくして仕事を前に進めることはできません。心に残っているのは、先輩が言った「ボールをひとりで持つな、投げ続けろ」という言葉。どんな仕事でも、自分ひとりで抱え込んでいるだけでは物事は動かない。常に周囲とキャッチボールする大切さ、そうやってひとつずつ物事が前に進んでいくんだということを教わりました。

先輩に教わることが多い一方で、当社には、若手が積極的に発言できる雰囲気もあります。最近は月に1回“若手会”が開かれています。お互いに直近での悩みを相談しあったり、技術的な知識向上のため勉強会を開催したり、どうすれば日々の業務の効率化に繋がるかといったことを、入社年次の浅い若手社員同士でフランクに話し合える場所になっています。その中で生まれたアイデアを会社全体に向けて発信することもあります。そういう“若手の声”を、真剣に聞いてくれる人が数多くいるのは、当社の若手の成長を加速させている特長だと思いますね。

あずけた人の想い

最前線の現場を
経験してほしい。

プラントエンジニアには、様々な知識が必要です。処理プロセスや機械だけでなく、電気、土木、材料、工程、コスト・・・。また、自分目線ではなく、工事をしてもらう業者や、実際に使用するエンドユーザーのことを考えて設計することが重要。これらを一気に身に付ける近道はないですが、現場での施工管理や試運転の経験は、成長のきっかけにはうってつけだと思います。設備が作られている最前線の現場で “感じる”、“考える”、“やり抜く”ことで、自信と経験を蓄積してもらいたいですね。困難を乗り越えたあとに成長があります。日々のコミュニケーションで少しずつでも成長を感じながら、近い将来に誰からも信頼される技術者になることを期待しています。

ともに挑む先輩たち