K.O
水処理施設/電気計装設計
大学では電気工学を専攻し、大学院に進んでからはプラズマに関する研究室に所属していました。そこで主に学んでいた領域が、プラズマを使って水を綺麗にするという研究。いわば私が学んできた「電気」と、「環境」を繋げるような内容でした。院生時代に読んだ論文でも様々な環境問題に関して言及されていて、自然環境を今のまま放置していてはいけないと課題意識を持つようになりました。環境問題の解決に少しでも貢献できること、なおかつ自分のこれまで学んだ知識を活かして取り組める仕事をしたいと思っていました。
所属している部署は、主に水処理施設の“電気”に関する設計を行う役割を担っています。プラントは電気がなければ動きません。配線をどこから引いてどこに繋げるか、機械を動かすための電気をコントロールする制御盤の中身をどうするか、あるいは計装機器(*1)の動作確認まで、電気にまつわることはすべて私たちの仕事です。受注前の見積作成から、受注後の設計、工事の対応から試運転に至るまで、すべての段階を一貫して担当できるのは当社のユニークな点で、一番の入社の決め手になりました。
*1:温度計、圧力計、流量計、レベル計など、様々な工程で使用する測定・調節用の測定装置や制御装置。
入社後に初めて携わったのは、新設の発電所に併設する排水処理設備の案件でした。扱う計装機器だけで100台を超える規模の大きな案件だったのですが、その試運転(*2)を任されることになりました。一周20分はかかる大きな施設の中をひたすら歩き回り、計装機器の配置や配線のチェック、および動作確認。3ヵ月かけて試運転をこなしていきました。試運転の終盤に、ひとつひとつの機器が目覚めていって、最終的に設備全体が動き出す様子を見たときはとても感動しましたね。
最初の日々は、大きなものから小さなものまで、ミスもたくさんありました。しかし、失敗は悪いことばかりでなく、今後の糧として活かすことができます。失敗しても「ごめんなさい」と誠意を持って謝って、なんとかリカバリーしていこう。そう考えて、恐れずに挑戦する道を選びました。その失敗が多かった時代に自分をサポートしてくださった上司や先輩とは、自分の弱い部分もさらけ出せたからこそ、ワンチームとして強い繋がりが生まれました。今でも、わからないことや聞きたいことがあったら何でも相談できる存在です。また、安全に関することを徹底的に叩き込んでもらったことも忘れられません。何故ここに触れてはいけないのか、これを外したらどんな事故に繋がるのか。そういった根本的なルールを現地で見て学ぶことができたのは、キャリアにおいて大きな財産になっています。
*2:プラントの建設完了後、本稼動を始める前に試験的に運転・稼動させること。各設備、機器類が仕様・設計通りに正しく動作するか、求められた能力を発揮できるかどうかを確認する。
電気関係の仕事というと、自動車や航空機、情報通信機器などが思い浮かびやすく、環境プラントはやや毛色が違うと考える人が多いかもしれません。しかし、私のように技術を突き詰めるだけでなく、環境問題にも深く携わりたいと考えている電気系エンジニアの方なら、意欲をもって働くことができるフィールドが当社にはあります。
現に、うちの部署でも電気の知識を持っている人はいつも重宝されていますよ。さらに当社は下水処理施設からでた汚泥をエネルギー化する技術開発や、排ガスからエネルギーを回収する熱交換器の研究など、環境にまつわる幅広い領域で“次世代に繋ぐ地球を守る技術”を模索しています。そういった研究開発の案件にも、携わるチャンスが多々あります。こういった研究開発に加えて、電気分野においても画像処理やAR(拡張現実)技術の導入を検討しており、最先端のテクノロジーを積極的に受け入れる体制も整っています。
研究開発が盛んになっている背景として、若手が学びやすい環境が整っている点も、当社の特長だと感じています。社内研修も様々なプログラムが実施されており、社外の研修受講も支援してくれます。このような環境を活かしながら、まずは水処理プラントの建設を通じて、電気の専門性を高めた後、5年、あるいは10年先かもしれませんが、他のソリューション領域にもぜひ挑戦してみたいです。そうして学びと実践を重ねた先で、「キミだから、お願いしたい」と言われるような、独自の環境ソリューション技術を問い続けることが大切だと思います。「電気」と「環境」という原点も意識しながら、いつかオンリーワンの人材になることが、今見据えているキャリアのビジョンですね。
最初は計電の業務に慣れることを目的に、詳しい中身は分からなくても先輩と共に一通りの業務を経験してもらいました。特に試運転への参加は、盤・計装品・工事に直接触れることでより具体的なイメージをつかむことが出来るので、積極的に参画してもらいました。その後は小規模で簡単な案件をあずけていくことで、自分で考えて行動することを身に付けてくれたと思います。ただあずけるだけではなく、困っていることはないか、彼からの質問がなくても不定期にこちらから確認するようにしています。本人の技術的成長を意識し、質問があった際には回答だけでなく、その根拠にも触れるようにも意識しています。一番は、いつでも、なんでも周囲に相談できるような雰囲気づくりを心がけています。