廃棄物処理/リサイクル

地球温暖化防止のためのCO2削減は社会的な喫緊の課題となっています。焼却工程で熱が発生することから、廃棄物は、国内で自給できる貴重なエネルギー源、「廃棄物燃料」として利用できます。

廃棄物処理施設は、地域のエネルギーセンターとしての活用、廃棄物エネルギーを活用した産業振興、災害時の防災拠点としての活用が期待されます。

当社においては省エネ・創エネ性能の向上や焼却残渣の低減などを通じ、SDGsに貢献できる廃棄物処理技術の開発を進めています。また少子高齢化に伴う廃棄物処理の担い手不足を解決するために、施設操業の自動化に関する開発にも注力しています。

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ガス化燃焼炉

ガス化溶融炉で培ったガス化技術、数値計算による燃焼解析技術を活用し、低空気比燃焼が可能なガス化燃焼炉を開発しました。

ガス化燃焼炉

ガス化燃焼炉内の燃焼解析を実施。空気、排ガス循環の供給方法を最適化することで、低空気比運転による燃焼調整のみで低NOx運転を実現。

酸素と窒素酸化物の濃度分布

開発にあたって

ガス化燃焼炉の開発では、実機での実証試験を実施しました。

炉の改善に加えごみの供給方法の最適化も行い、長期間の実証試験を通じて技術の検証を行いました。炉の設計においては、数値シミュレーションも活用しています。実機での排ガス測定結果との比較評価により計算モデルを改善し、精度の向上を図っています。

ストーカ式焼却炉

ストーカ式焼却炉は、炉壁をボイラ水管で構成した円筒形状の炉で、次のような効果を発揮しています。

①耐火物を使用しないことによる炉壁の長寿命化

  • 炉壁にクリンカ(溶融物)が付着しても、耐火物がないため損耗の心配がありません。
  • 炉壁は高温のボイラ水で冷却されているため、腐食域は回避されています。

②円筒炉内で効率のよいガス混合による低空気比燃焼

  • ストーカ炉特有の穏やかな燃焼と同時に、円筒壁で囲まれた空間での混合により余剰空気は低減されます。
酸素と窒素酸化物の濃度分布

開発にあたって

ストーカ式焼却炉の基本的な技術は40年以上前に確立され、以降、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却炉として国内外で稼働しています。歴史があるだけに実績が優先されがちですが、常に最適な技術をお客さまへ提供できるように、実稼働運転の評価に加え、新たな技術開発も進めています。

従来は主に実証試験による技術検証が行われていましたが、現在は開発から設計と様々な分野で燃焼・熱流動や構造といった解析技術を導入し技術開発のスピード向上を図っています。

廃プラスチックのガス化及びメタノール化

夾雑物及びさまざまな材質のプラスチックの混合物である雑多な廃プラスチックは、リサイクルが因難であり、熱利用焼却、単純焼却や埋め立てにより処理されるのが一般的です。持続可能な循環型社会、脱炭素社会の実現に貢献するために、これら雑多な廃プラのケミカルリサイクル技術の構築を目指し、当社が保有する流動床式ガス化技術をベースに、基幹化学品であるメタノール合成に適したガスを生成する実証を行っています。

廃プラガス化

開発にあたって

この技術を用いれば、例えば廃プラ6万トンなら約4万5,000トンのメタノールが製造可能であり、従来のメタノール製法に比べ約10万トンのCO2が削減できる計算です。
雑多な廃プラからメタノールを合成するという国内初のケミカルリサイクルプロセス構築に向け、挑戦は続きます。

高速炭酸化技術

2050年のカーボンニュートラル達成に向け、CO2の 固定(CCS)や利用(CCU)によるCO2削減技術が注目されています。当社では、飛灰がCO2を吸収/固定化する炭酸化反応において、重金属類が飛灰に固定化、吸着されて不溶化する性質に着目し、都市ごみ焼却施設で発生する飛灰に、同じ施設で発生したCO2を反応/固定化させる「高速炭酸化技術」を開発。実機スケールでの実証試験により、①CO2有効利用の促進、②重金属処理薬剤の使用量削減の有効性を確認、実案件※1で採用され、建設が進められています。また、デモプラントを活用して他の廃棄物への応用展開を検討しています。

※1 「福井市新ごみ処理施設整備・運営事業」において、 都市ごみ焼却飛灰の炭酸化処理技術として
   採用

デモプラントを活用し、実機規模での炭酸化サンプル試験が可能

開発にあたって

高速炭酸化技術は、自然界で数年単位で起こる炭酸化反応を数分~数十分で行い、CO2固定化に貢献する技術です。
排ガス中のCO2を分離回収せずに直接固定化できる、シンプルなプロセスが特徴です。
現在、他の廃棄物への適用に加えて、CO2固定量の向上、CO2を固定化した廃棄物の有効利用・再資源化にも取り組み、あらゆる分野でCO2削減ができるよう応用展開を図っています。

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